世界傑作絵本シリーズ・ドイツの絵本、ヤーノシュ「おばけリンゴ」

世界傑作絵本シリーズ・ドイツの絵本、ヤーノシュ「おばけリンゴ」
おばけリンゴ (世界傑作シリーズ・ドイツの絵本)
ヤーノシュ/作 やがわすみこ/訳 福音館書店


本の状態など詳しい商品説明は→→こちら

むかしあるところにワルターというびんぼうな男の人がいました。
ワルターはリンゴの木を一本もっていました。
りっぱな木でしたが、花も咲かないし実もなったことがありませんでした。
ワルターはたくさんの実がなる他の木がうらやましくて
「ひとつでいいからリンゴがなりますように」と心をこめてお祈りしました。
すると、願いがかない、花が咲いてリンゴがなりました。
ワルターは大喜び!
そのうち、リンゴは大きくなって、とうとう巨大なおばけリンゴになりました。

昔話ですと、おばけリンゴのおかげでお金持ちになったり、幸せになったりという
パターンですが、ワルターは幸せになるどころか、おばけリンゴのせいで
みじめになったり、苦労したりと、ぜんぜんいいことがありません。

王様やリュウが出てきて、おばけリンゴが活躍しますが
ワルターは褒美ももらえず、ほめらもせず・・・びんぼうなまま。
でも、ワルターはそんなことなど一向に気にせず、おばけリンゴがなくなったことで
また元気になり、つぎにリンゴができることを祈りながら、淡々と眠りにつく
安らかな日々を送ります。
ちょっと気弱で、飄々としたワルターの悲喜こもごもなおはなしです。

ヤーノシュはドイツの絵本作家で、本作「おばけリンゴ」で国際的に知られる
絵本作家となりました。
絵はほとんど独学ということで、大変個性的な画風です。
アンバランスでのびのびとしていて子どもの絵のようです。
おはなしにも絵にも、ユーモアとペーソスがあふれています。