冬から春へ、エルサ・ベスコフ作「ウッレと冬の森」(らくだ出版)★絶版★

冬から春へ、エルサ・ベスコフ作「ウッレと冬の森」(らくだ出版)★絶版★
「ウッレと冬の森」
エルサ・ベスコフ/作・絵 小野寺百合子/訳 らくだ出版(絶版)


ウッレは六さいの誕生日にお父さんから新しいスキーを
もらいました。
ウッレはほんもののスキーをもったことがありませんでしたので
すべるのをたいへんたのしみにしていました。
とうとう冬がやっきて、ウッレはスキーで森へ出かけました。
森の中でウッレは白霜じいさんに出会い、冬王さまの森のお城へ
連れて行ってもらえることになりました。
お城のなかには小さな子どもたちがたくさんいて、手袋をあんだり
スキーやそりを作ったり、手際よくクリスマスのプレゼントを
作っていました。
しばらくすると、仕事休みの時間になり、うわーと外にとびだして
ウッレとゆかいな雪あそびがはじまりました。

たのしい雪あそびはあっという間に終わり
ウッレは白霜じいさんに送ってもらい家に帰りましたが
この冒険にひどく興奮して、ほとんど夕ごはんを食べることもできずに
なにもかもおはなししたくてたまりませんでした。

このおはなしは雪がはじめてつもった冬の森からクリスマスを経て
野で雪どけがすすみ、春がやってくるまでが描かれています。

冬王さまや白霜じいさんをはじめ、雪どけばあさん、春の王女さまといった
冬と春
の妖精が出てきて、ウッレだけでなくおとうとも
見たりふれあったりします。
この妖精たちは、ベスコフの豊かな想像力と、繊細で巧みな絵によって
生み出されているのですが、子どもならぜったいにいるはずと信じるほど
とても存在感があります。

訳者の小野寺百合子さんの「あとがき」によると
ベスコフには六人の息子さんがいて、息子たちをよく観察して
作品のモデルにしたり、作品にたいする子どもたちの批判を受け入れ
制作にいかしたそうです。
そんなお母さんとしての一面が、人間味あふれるあたたかな作品を
つくっているのですね。