フランスのグラフィクアーティスト、アンドレ・フランソワの絵本

フランスのグラフィクアーティスト、アンドレ・フランソワの絵本
「いたずらロラン」
ネリー・ステファヌ/作 アンドレ・フランソワ/絵 かわぐちけいこ/訳 福音館書店【絶版】


ロランが「じゃらんぽん」と唱えると、絵に描いたトラや
シマウマ、クマや小川が、本物になってあらわれます。
学校は大騒ぎ!仲良しのイザベルのミンクのコートを
なでると、毛皮のどうぶつはぞろぞろにげだして
イザヘルは泣き出してしまいました。
とうとうロランはおまわりさんに捕まってろうやへ。
ところが、毛皮のどうぶつがロランを助けてくれて
おもちゃをひとつも持っていない女の子の家に案内されました。
ロランは、踊る人形を絵に描いて 「じゃらんぽん」と唱えます。
踊る人形は女の子の友だちになりました。
女の子と動物とお別れをしたロランが大きな広場に行くと
ロランが魔法でつくったシマウマが。
シマウマにまたがりかけていくとバナナの皮ですってんころりん!
ロランは川へなげだされます。川のなかできらきら光るおさかなを
つかまえて・・・

と、おはなしはつづきますが、何もおそれず、自由きままなロランが
ちょっぴりうらやましくもあり、なんだかワクワクしてくるおはなしです。
冬の雪の日のおはなしで、もみの木が出できたり
女の子の家にえんとつをくぐっていき、人形をプレゼントしたりと
クリスマスっぽさを感じるシーンもあります。

さて、この絵本の一番のおすすめは、フランスのグラフィク界を代表する
アンドレ・フランソワが絵を描いていることです。
「ザ・ニューヨーカー」「パンチ」「ヴォーグ」誌の表紙を手がけるなど
国際的にも著名なアーティストです。
作者紹介欄に、「子どものための絵本はいずれも自由闊達で
機知にとんだ彼らしい傑作」と書かれています。
まさにそのとおりで、細かいところまで気配りのある絵には
ユーモアの要素満載!クスッと笑えたり、ほほえましかったり・・・
ブラックとパープルとベージュの色の組み合わせがなんともオシャレ。
計算しつくされた感のある色のバランスが、アンドレ・フランソワさんの
感性によるものだと思うと、おはなしのあるアート作品のようです。