1980年度絵本ライブラリー版、安藤三紀夫(あんどうみきお)/田中岑(たなかたかし)・福音館書店★絶版★
北の大地のものがたり「ひをふくやまとあおいぬま」
「ひをふくやまとあおいぬま」
安藤三紀夫(あんどうみきお)/作 田中岑(たなかたかし)/画 福音館書店【絶版】
文は、児童文学作家の安藤美紀夫(あんどうみきお)さん。
「でんでんむしの競馬」偕成社/1972年刊(のち講談社文庫)で
国際アンデルセン賞作品賞、野間児童文芸賞など多数の賞を受賞。
1960年代から90年代にかけて、多くの児童文学作品と評論
イタリア児童文学の翻訳作品を著作されています。
絵は、1956年(昭和31年)に創設された「安井賞」の第1回受賞者となった
洋画家の田中岑(たなかたかし)さんです。
「独自の色彩感覚で、モノの形よりも色を追求した画家」
「絵画を掌る色に魅了され、またその色によって見る者を魅了してきた画家」
などと、評されているとおり、本作品も具象画というよりは
どちらかというと抽象的で、安藤三紀夫の文学を色による感性で
とらえています。
絵本としては、かなり異才をはなつ、見たこともないような作品です。
また、代名詞とも言える追及された色の美しさも、絵本という印刷され
限られた小さな画面の中でも、いきいきと輝いています。
北の国に、ピンネシルという火をふく山と、そのふもとに
ピルカトーという青くすみきった小さなぬまがありました。
ピンネシルはごうごうとあらあらしく火をふき
ピルカトーはさざなみのようなやさしい声で歌をうたっていました。
ピルカトーのまわりには、たくさんの鳥やけものたちが集まり
森の木々が生い茂り、澄んだ水のなかで魚たちを飼っていました。
それを面白くないと思ったピンネシルはある出来事をきっかけに
すさまじいいきおいで怒り出し、どっと太い火柱を空に向かってふきあげました。
どろどろにとけた岩がふもとの森を焼きつくし、ピルカトーも赤黒くよどんで
しまいました。
けれども、ピルカトーの奥深くにはわずかに残ったきれいな水がありました。
ピルカトーと生き残った魚たちは、それから百年の時をかけ
小さな水玉をひとつぶずつあつめて、ピンネシルをおとなしくさせる
氷のように美しいやりをつくります・・・
たけだけしい自然の猛威と、長い年月をかけて再生へと向かう
自然の崇高な営みを描いた作品です。
初出版は、1968年5月で、本書は1980年度絵本ライブラリー版です。
安藤三紀夫(あんどうみきお)/作 田中岑(たなかたかし)/画 福音館書店【絶版】
文は、児童文学作家の安藤美紀夫(あんどうみきお)さん。
「でんでんむしの競馬」偕成社/1972年刊(のち講談社文庫)で
国際アンデルセン賞作品賞、野間児童文芸賞など多数の賞を受賞。
1960年代から90年代にかけて、多くの児童文学作品と評論
イタリア児童文学の翻訳作品を著作されています。
絵は、1956年(昭和31年)に創設された「安井賞」の第1回受賞者となった
洋画家の田中岑(たなかたかし)さんです。
「独自の色彩感覚で、モノの形よりも色を追求した画家」
「絵画を掌る色に魅了され、またその色によって見る者を魅了してきた画家」
などと、評されているとおり、本作品も具象画というよりは
どちらかというと抽象的で、安藤三紀夫の文学を色による感性で
とらえています。
絵本としては、かなり異才をはなつ、見たこともないような作品です。
また、代名詞とも言える追及された色の美しさも、絵本という印刷され
限られた小さな画面の中でも、いきいきと輝いています。
北の国に、ピンネシルという火をふく山と、そのふもとに
ピルカトーという青くすみきった小さなぬまがありました。
ピンネシルはごうごうとあらあらしく火をふき
ピルカトーはさざなみのようなやさしい声で歌をうたっていました。
ピルカトーのまわりには、たくさんの鳥やけものたちが集まり
森の木々が生い茂り、澄んだ水のなかで魚たちを飼っていました。
それを面白くないと思ったピンネシルはある出来事をきっかけに
すさまじいいきおいで怒り出し、どっと太い火柱を空に向かってふきあげました。
どろどろにとけた岩がふもとの森を焼きつくし、ピルカトーも赤黒くよどんで
しまいました。
けれども、ピルカトーの奥深くにはわずかに残ったきれいな水がありました。
ピルカトーと生き残った魚たちは、それから百年の時をかけ
小さな水玉をひとつぶずつあつめて、ピンネシルをおとなしくさせる
氷のように美しいやりをつくります・・・
たけだけしい自然の猛威と、長い年月をかけて再生へと向かう
自然の崇高な営みを描いた作品です。
初出版は、1968年5月で、本書は1980年度絵本ライブラリー版です。