リアルなのに人間味あふれるポール・ガルドンの動物絵本、インドの寓話集「ジャータカ物語」より、「さるとわに」

リアルなのに人間味あふれるポール・ガルドンの動物絵本、インドの寓話集「ジャータカ物語」より、「さるとわに」
さるとわに
ポール・ガルドン/作 きたむらよりはる/訳 ほるぷ出版


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森の中の川のほとりにマンゴーの木があって、たくさんのさるたちが
すみついていました。
川にはおなかがペコペコのわにたちがいました。
   
ある日のこと、その中の若いわにが、さるをつかまえて食べてやろうと
思いました。
若いわには自分はりこうなので、ぜったいにさるをつかまえられると
自信満々で、一番すばしっこいさるに目をつけました。

わには、さるに悪だくみをしかけますが、それに気づいたさるが
反対にわにをだまし、難をのがれる愉快なおはなしです。

このおはなしは、インドの寓話集「ジャータカ物語」のなかの
ひとつです。
「ジャータカ物語」は、いろいろな動物の姿で現れるブッタの前世を
語ったもので、機知に富んで優れた様を語っています。

ガルドンは前書きに「にほんのみなさんへ」とメッセージを
寄せています。
その中で「いちまいのえは、どんなにおおくのことばにもまさる」と
記しています。

まさにその言葉のとおり、ガルドンの絵は芸術的というよりも
絵でおはなしを語ることに重きをおいているように思います。
ガルドン自身がまっさきに、寓話や昔話などを楽しんで
それを絵で表現するのを楽しんでいるように感じます。 

この物語では、舞台であるジャングルの様子、とりわけ、わにの描写は
話にそった気持ちを投影させながら、リアルさも追及して描かれ
こだわりが感じられます。