【うさぎ絵本】にんじんケーキ(旧版・1986年初版第2刷)

【うさぎ絵本】にんじんケーキ (旧版・1986年初版第2刷)
にんじんケーキ
ノニー・ホグローギアン(ナニー・ホグローギアン)/作 乾侑美子/訳 評論社
■旧版の初版第2刷

2009年に改訂版が発刊されています。
表紙絵と作者名の表記がナニー・ホグローギアンに改変されています。



本日ご紹介の絵本は、新婚のうさぎカップルのおはなし。
でも、恋人同士でも友だち同士でも、すべての人間関係に
あてはまる、身に覚えのあるおはなしではないでしょうか。

二匹のうさぎが結婚しました。
夢のような結婚式とハネムーンが終わり、ふたりは新しい
生活をはじめました。
ふたりはもっと知りあわなければなりません。
ある夕方、散歩しながら話をはじめました。
でも奥さんは内気で、うまく話すことができません。
だんなさんは、自分のことばかりつぎつぎと話しはじめると
自分のことしか頭にないように、奥さんに都合の良い相槌を
うたせようと命令します。
話がすすむうち、どんどんちぐはぐになっていくふたりの会話。
とうとう怒りだしたのは……どっち?

誰かと仲良くするのに、言葉も大切ですが、何より大切なのは
相手を尊敬し、思いやる心…。
「ふたりは、しあわせなきもちで、うさぎあなにかえって、
にんじんケーキをたべました。なにも、はなしませんでした。」
これは、このお話の最後の言葉です。

ナニー・ホグローギアンは、アメリカの絵本作家。
きょうはよいてんき」で、1972年のコールデコット賞を受賞。
「にんじんケーキ」は、1977年の作品です。
邦訳版は、1980年初版。ノニー・ホグローギアン名で出版されました。
その後絶版となりましたが、2009年に改訂版として復刊されています。

手の込んだ背景など何もない、ホグローギアンの飾り気のない絵。
シンプルなお話と絵だからこそ、奥深さのある、現代の寓話です。