【世界傑作絵本(福音館書店)】2度目のコールデコット賞受賞作、ロバート・マックロスキー「すばらしいとき」

【世界傑作絵本(福音館書店)】2度目のコールデコット賞受賞作、ロバート・マックロスキー「すばらしいとき」
すばらしいとき
ロバート・マックロスキー/作 わたなべしげお/訳 福音館書店


絵本制作当時、マックロスキー家は、アメリカ・メイン州の
ペノブスコット湾の美しい入り江に浮かぶ小島で夏を過ごし
冬は南のバージン諸島で暮らしていたそうです。

この絵本は、メインの島の美しく豊かな自然と、その中にとけこむように
過ごしている姉妹の姿を、マックロスキーが、「おまえたち」という
二人称の語りかけで描いています。

子どもは遊びの天才と言いますが、姉妹たちも自然を相手にのびのびと遊んでいます。
しずかな林の中の芽吹く音に耳をすます。
にわか雨のシャワーを浴び、霧が明けると歌いだす。
夏のさかりには、昼はにぎやかにヨットあそび、海あそび。
夜はひっそりとボートをこぎだし、あかりで海を照らす。
姉妹は仲良く、いつも明るく前向きで、子どもらしいのびやかさです。

やがて、突然嵐が島を襲い、過ぎ去っていく様子が描かれます。
荒れ狂う嵐の中、家族は大きな声で歌ったり、身をよせあって
嵐が行き過ぎるのを待ちます。
嵐が過ぎた翌朝、姉妹は、倒れた大きな木の上を歩きます。
嵐のことなどけろりと忘れてしまったかのようなたくましさです。

嵐のあとは慌ただしく夏が終わりをつげ、今年の島での暮らしが終わりました。
船に乗り、島を後にする様子が描かれ、物語の余韻が、しずかに心を満たします。

かけがえのない豊かな自然と、子どもたちの健やかな日常と成長。
マックロスキーは、いつまでもこの平和な日常がつづくようにと
願っていたことでしょうね。

本作は「かもさんおとおり」につづく2度めのコールデコット賞受賞作品です。

ある場面は引きで、ある場面は寄せで、空から見下ろしているような場面も!
さながら映像を見ているかのような巧みさです。
心をこめて描かれたふたりの少女と島の自然に、愛情を感じます。